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この10年で発達障害についての研究が飛躍的に進歩し、次々と新しい知見が出てきました。特に自閉症は、スペクトラム(連続的に同質の障害特性をもつ者)全体で考えると発症率は1%程度であり、半数は知的障害を伴わないことがわかってきています。

ところが、そうした知見は十分に行き渡っておらず、ほとんどの親が、子どもが1-2歳の早期から、子どもについての不安や問題意識をもっているのに、診察を受けたり、相談をしても「様子をみましょう」「大丈夫です」といった医師や専門家のことばがけのために、早期の介入のタイミングを逃してしまっています。ある程度大きくなって、問題が健在化、あるいは症状が悪化してから療育につながることが多くなっています。

近年の研究で、早期の発達障害徴候や、介入方法について明らかになってきており、特に、社会性や衝動コントロールの側面では、早期(1-2歳)での介入が非常に重要だということがわかってきました。ことばや運動面の発達は順調であっても、コミュニケーションの取り方や、人とのやり取りの発達がゆっくりなど、アンバランスさを抱えていることも多いです。実は、そうした早期からの発達のチェック(発達検査)は1、2歳でも可能です。また、早期に介入を行なうほど、関係の悪循環を防ぎ、症状を軽減できることで、その後の予後がよくなることが実証されてきました。

早期介入の目的は、人の最も基本的な関係性の発達を支援していくことにあります。子どもの発達がゆっくりであったり、育児に困難さを抱えたりしている場合は、どういった事例にもかかわらず有効です。適切なタイミングで介入できない場合、子どもにあった対応ができないために症状が悪化したり、育児がより困難になることで虐待という不幸な結果に陥ることもあります。虐待事例の65%が何らかの発達障害を呈していたという報告もあります。発達支援をうけることは、障害のラベリングではなく、よりよい子どもの発達と親子関係の支援を目指すことになります。3歳からの介入では遅い場合もあり、親が不安に思っているなど、何らかの問題意識を訴えた場合、出来るだけ早くに専門機関への紹介をお願いいたします。
発達支援についての紹介先

・地域の保健センター、地域の子ども相談センター、療育機関
・NPO法人アスペ・エルデの会(1,2児の母子支援の専門プログラム(有料))
  URL:http://www.as-japan.jp/